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「女性コーチとしての道」セミナー

更新日:2020年3月21日



 2020年3月16日18:00〜19:30に日本体育大学コーチングエクセレンスセンター主催のオンラインセミナー「女性コーチとしての道」を開催しました。今回のブログではその様子を報告します。


 まず、なぜこのようなセミナーを開催するに至ったかという理由から説明します。2016年にブラジル・リオデジャネイロで行われたオリンピックに日本から338名の選手が派遣されました。その男女比は174:164でほぼ同数でした。しかし、派遣された監督・コーチに占める女性の割合は14%であったと報告されています。日本スポーツ協会の公認スポーツ指導者資格保有者のうち女性は29.7%(日本体育協会、2013)であり、これも低い水準です。さまざまな原因が考えられるでしょうが、女性がコーチという道を選択しにくい状況を社会が作り出しているとすれば、それは何とか改善をしていく必要があると考えています。アスリートの立場からすれば、選択肢は多い方がよいでしょうし、多様性が増してくることで、スポーツ界にさまざまなイノベーションが起こりやすくなってくることも期待できます。

 私たちのチームでは、これまでにも女性コーチ活躍に向けた取り組みをしてきました。国際アカデミーである日本体育大学コーチデベロッパーアカデミーでは、受講者選抜の際にできる限り男女比が1:1となるような選考をしています。2018年2月には女性コーチデベロッパーに関する国際シンポジウムを開催しました。2018〜19年度は日本スポーツ振興センターから再委託をうけ、女性エリートコーチ育成事業のコーチングスキルアップを狙ったワークショップを年数回開催させていただいています。2020〜21年度は日本スポーツ振興センターからバトンを受け継ぎ、我々のチームが中心となり、スポーツ庁委託事業として女性エリートコーチ育成事業を展開していく予定となっています。昨年度には日本体育大学コーチングエクセレンスセンターで女性コーチ限定のコミュニケーションスキルアップのワークショップや女性限定コーチデベロッパー導入ワークショップを開催しました。

 これらの取り組みのベースは、アスリートセンタードコーチングの概念です。アスリートがよりよいコーチングを受けられるようにしていくために、女性コーチを増やしていく取り組みが重要であると考えています。もちろん、無理矢理女性にコーチをさせるわけではなく、コーチという選択肢が当たり前になるような取り組みをしていくということです。


 今回のセミナーはzoomを使ってオンラインで行いました。まだまだオンラインでセミナーを受講するという文化がなく、少々ぎこちない感じになるところがありましたが、概して学び多いセミナーになったと思います。

 セミナーではちふれASエルフェンマリの伊藤香菜子さん(サッカー)と帝京科学大学の小林咲里亜さん(柔道)のお二方に情報提供をしていただき、参加してくださった方々の質問に答えていくかたちで進めていきました。お二人とも日本のトップ選手として、それぞれの競技で活躍されていたのですが、選手のころにはコーチというキャリアは考えたこともなかったといいます。むしろ、コーチにはならないと思っていたというほうが正しいかもしれません。人生は順風満帆というわけではなく、さまざまな壁にあたり今に至っているということですが、お二人共に何を血迷ったか!?私たちの研究室へコーチングを学びに来てくれたのです。お二人の記事へのリンクを貼っておきますので、ぜひご参照ください。



 アスリートとして活動していたときのモチベーションとコーチとしてのモチベーションにはどのような違いがあるのかという、面白い質問がありました。伊藤さんは、アスリートとして活動していた時、特に若い頃には自分のプレーに精一杯でしたが、年齢を重ねるにつれて、徐々にチームとして勝っていくプロセスが面白くなってきたと語っていました。そして、コーチである今は、まずアスリートがいて、そのアスリートがパフォーマンスを高めていけるように自分が学んでいくことが重要だと感じているそうです。自分のため、から、他者のためにと考え方がシフトしてきたということでしょうか。小林さんも同様のことを話していました。自分がアスリートの頃は自分を高めていくことしか正直頭になかったけれども、今は目の前のアスリート達が強くなりたくて頑張っている、目標に向けて頑張っているという様子に心がかき立てられる状態だとお話しされていました。

 理想のコーチ像についても質問がありました。伊藤さんは、どのようなチームを作りたいかではなく、自分自身をごまかさないことが大切だと思っていると答えました。特に今はコーチになりたてで、コーチとしてできないことがたくさんあるけれども、できるフリをせず、自分自身を客観的に評価しながら、自らのコーチングスキルを向上させていくことに注力することが必要だと感じているとのことでした。小林さんは、アスリートが「コーチ、いまごまかしたな!」と絶対に気づくので、自分の素でいくことで、自分が頼りなさ過ぎてアスリートがしっかりしてくれるとユーモラスに語ってくれました。飾らない姿勢が二人とも素敵ですね。借りてきたコーチ像を演ずるのではなく、自分にしかできない自分のコーチングスタイルを構築していこうとする姿勢に感銘を受けました。


 最後に、参加者らとセミナーを通しての学びを共有しました。新しく気づいたこと、やってみようと思うこととして、このようなコーチングに関する話を共有することができる場がとても大切だという意見が数多く出てきました。もっと知りたいこととして、理想と現実の乖離にどう対処すればよいのか、他の人がどのような事で悩んでいるのか、女性コーチに求められることなどが挙げられました。

 今回のセミナーを通して私が感じたことは、やはり、女性限定のセミナーを作ることはとても大切だということです。我々としても、女性コーチが気軽に自分の考えを相談できる環境を整えていき、コーチという道が女性にもっと近くなるように活動を続けていきたいと思います。(伊藤雅充)■

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