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Coach the Coach ― Building a Winning Coach Culture(勝つ文化を育てるコーチング)


 皆さん、こんにちは。伊藤雅充です。

 2025年5月にマレーシアで行われた国際スポーツコーチング会議にて講演を行いました。その際、マレーシア国立スポーツ研究所(ISN)が運営するポッドキャスト番組 Perform Podcast に、日本体育大学コーチデベロッパーアカデミー(NSSU Coach Developer Academy)ディレクターとして出演しました。テーマは「Coach the Coach ― Building a Winning Coach Culture(勝つ文化を育てるコーチング)」。今回の記事では自動文字おこしのデータを使って作成した要約(AIによる)を紹介します。


コーチング文化の基盤は「学び続ける姿勢」

 最初に問われたのは「勝つコーチ文化とは何か」。国や文化が異なっても、優れたコーチやコーチデベロッパーに共通するのは、自らを高め続けようとする意欲だと感じている。

「学びたいという姿勢こそが、コーチング文化を育てる土壌になる。」

この“学び続ける心”が、国や競技を超えて指導文化の質を決定づけると強調した。


コーチを支える「コーチデベロッパー」という存在

 コーチデベロッパーとは、コーチ自身の学びと成長を支援する専門家である。コーチはアスリートを導くが、コーチデベロッパーはそのコーチを支える存在だ。

「私たちは往々にして“自分が何を知らないか”を自覚できない。だからこそ、他者の視点が成長を引き出す。」

この「コーチのコーチ」という概念は世界的にも新しく、今後のスポーツ人材育成における鍵とされている。


日本のスポーツ文化を支える学校部活動

 日本のスポーツ文化を語るうえで欠かせないのが、学校を基盤とした「部活動」の存在である。中学生の8割以上が放課後にスポーツをしており、教員がコーチを務める。この仕組みは、誰もがスポーツに親しめる環境を自然に生み出してきた。

「スポーツが生活に根ざしている。それが日本の強みであり、コーチング文化の裾野を支えている。」

この文化が、子どもからトップ選手までをつなぐ豊かな循環を生み出している。


良いコーチに共通する3つの特徴

 影響力のあるコーチに共通する要素として、次の3点を挙げた。

  1. 学び続ける意欲(Eager to Learn)

  2. 好奇心(Curiosity)

  3. やり抜く力(Persistence)

 日本の「道(Do)」という文化に象徴されるように、一つの競技を通じて自己を磨き続ける姿勢が、コーチの在り方にも重なっている。単に結果を求めるのではなく、スポーツを通じて人として成長することが重要だと語った。


開発途上国に共通する課題:「スポーツが生活に根づいていない」

 マレーシアをはじめ、アジアやアフリカなど多くの国々でスポーツ開発を支援する中で見えてきた課題も共有された。

「多くの国では、スポーツがまだ“限られた人の活動”にとどまっている。誰もが日常的にスポーツを楽しめる文化を築くことが必要だ。」

 スポーツを「教育」や「地域文化」の一部として位置づけることが、長期的な人材育成や社会の成長につながるという。


コーチ教育の転換:「教える」から「学ぶ」へ

 議論の中で、「Coach Education(コーチ教育)」という言葉そのものへの疑問も示された。

「“教育”という言葉には上から教えるニュアンスがある。しかし大切なのは“Coach Learning”、つまりコーチ自身が学ぶこと。」

 学びの主体をコーチに置く「学習者中心(Learner-Centered)」の発想は、アスリート中心のコーチング(Athlete-Centered Coaching)にも通じている。「教える」ではなく「共に学ぶ」という視点が、今後の指導者育成を変えていく。


女性コーチ育成とメンタリングの力

 日本で取り組んできた「女性エリートコーチ育成プログラム」では、キャリアメンターコーチングメンターの2名体制で支援を行っていた。また、女性のみのグループを設け、心理的安全性を重視している。

「混成グループでは女性が発言を控えてしまうことがある。まずは安心して意見を交わせる場をつくり、自信を育てる。その上で混成環境に戻る。」

こうした実践はマレーシアでも関心を集め、アジア地域での協働の可能性が広がっている。


リフレクションが自己成長を導く

 ポッドキャストの終盤で語られたのは、「Reflective Practice(省察的実践)」の重要性だった。

「振り返りには“浅い反省”と“深い省察”がある。なぜそうなったのかを問い続けることで、人は変化できる。」

 新しい学びには、過去の成功体験を一時的に手放す“アンラーニング”も欠かせない。自らを客観的に見つめる仕組みとして、AIによる発話分析なども活用していると紹介した。

「自分を客観視し、意識的に学び直す。その姿勢が、コーチとしての成長を支える。」

コーチへのメッセージ:「良き学び手のロールモデルであれ」

「子どもたちは学校の先生よりもコーチの言葉に耳を傾ける場合が多い。だからこそ、コーチ自身が学び続ける姿を見せてほしい。その姿が、次世代の学びの文化を育てる。」

 スポーツを通じて育てるのは競技者だけではない。「学ぶことを楽しむ人」を増やすことこそ、社会を豊かにする第一歩だ。


終わりに:学びの文化が未来をつくる

 この対話を通して浮かび上がったのは、「教える」ではなく「共に学ぶ」文化をどう根づかせるか、という問いだった。

 学び続けるコーチが増えれば、スポーツはもっと豊かになる。仕組みよりも、人の姿勢が文化を変える。その積み重ねが、コーチングの未来を形づくっていく。

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