

マイクロコーチングを使ってコーチングスキルを向上させる
皆さん、はじめまして。日本体育大学体育学部コーチング学系助教の廣岡大地です。まず簡単に自己紹介を行いたいと思います。私は2020年に本学大学院を修了しました。修士論文ではコーチのファシリテーションスキル向上を目的としたアクションリサーチ(自分のコーチングをビデオに撮影し、それをネタに指導教員や仲閒たちとミーティングをしてコーチングスキルを数ヶ月かけて向上させていく研究)を行いました。その後、神奈川県にある高等学校の非常勤(保健体育)として働きながら硬式テニス部のアシスタントコーチとしてアスリートに指導を行っていました。そして4月からは日本体育大学助教として働いています。現在指導現場がなくなってしまい探し中なので、もし紹介していただける方がいましたら是非ご連絡ください! では本題に入りたいと思います。現在スポーツ科学やテクノロジーの発展が著しく、それに伴いコーチに求められるスキルや能力もより高度で多様化してきています(日本コーチング学会,2017)。その為、コーチは過去に受けてきたコーチングや行ってきたコーチングに囚われないようにし、常にコーチン
廣岡大地
2021年5月7日読了時間: 6分


井戸端会議(効果的なコーチングに必要なコーチの知識)
井戸端会議開催経緯 ここ最近、何回かオンラインでワークショップをやってみて思ったことに、参加者の方がまだzoomなどオンラインシステムに慣れておらず、意見交換の枠組みをはっきり決めすぎてしまうと、枠組みの理解に時間がかかってしまい、一番盛り上がりたい会話が弾まないという経験をしました。もっと、自由に意見を発することができないと、面白いと思えないかもしれませんし、学びが少ないと思うかもしれないと考え、思いついたのが枠組みのない井戸端会議をやってみようということでした。思いついたらやってみないと、ということで急遽数日で参加者を募り、 2020年3月20日14時から1時間、「スローなオンラインコーチング井戸端会議」と称して、 zoomを使って1時間だけのんびり話をしてみました。 フリーと言っても、何でもありにしてしまうと、それこそ何の学びもない場になってしまう危険性も考えられたため、一応の枠として、以前に公開していた効果的なコーチングに必要なコーチの知識ビデオをネタとして設定しました。 10名の枠に対して、6名の指導者の方々が参加してくださり

伊藤雅充
2020年4月2日読了時間: 5分


子ども期のプレイとプラクティス
今日は、私が講演や授業でジュニアスポーツについて語る際に頻繁に用いているスライドの元になっている文献を紹介したいと思います。Conditions of Children's Talent Development in Sport(2013)という書籍の第2章「Play and Practice during Childhood」の最初の部分です。執筆者はJean Côté, Karl Erickson, Bruch Abernethyです。 Jean Côtéは私が尊敬するコーチング学研究者の一人で、私のテニス仲間でもあります。かなり競ります(笑)。とにかくボールを返してくるんです。そして攻めたい私が我慢できずミスをするという・・・。とりあえず、テニスのことは置いておいて、本題に戻しましょう。コーチング学研究をしている方は、さまざまなところで彼の名前を見かけたことがあると思いますが、 特にユーススポーツの領域では素晴らしい業績をお持ちの方です。 それでは、どうぞ。 子ども期のプレイとプラクティス はじめに ユーススポーツには、スポーツパフ

伊藤雅充
2020年3月28日読了時間: 11分


コーチの感情知能指数(EQ)
日体大大学院コーチング学専攻修士1年の長久保健太郎です。今回、私が興味を持っている効果的なコミュニケーションについて紹介したいと思います。 私の文脈 その前に、少しだけ私の文脈を書かせて頂きます。私は小学校4年生からバレーボールを始めました。大学を卒業してからはコーチとしてバレーボールに携わり、現在は大学院でコーチングを学びながら日体大女子ビーチバレーボールのコーチをしています。私はビーチバレーボールの競技経験はありません。ですが未経験の競技をコーチすることで自身のコーチングスキルを向上できると思い、ビーチバレーボールというインドアとは異なるバレーボール競技でコーチを始めました。また、私は今のところビーチバレーボールの専門的知識がないため選手とのコミュニケーションを通じて選手の意思決定を尊重し、手助けするアプローチを心がけています。 コミュニケーションの大切さ さて、本題に入っていきたいと思います。現在、私は選手とのコミュニケーションに悩みを抱えています。「 コーチの言動や態度が選手に変化を起こさせる。変化は選手の動きであったり、情動であった
長久保 健太郎
2020年3月17日読了時間: 9分


ビデオでみる「コーチの3知識」
修士課程2年生の玉田さんが3回にわたって効果的なコーチングに必要な3つの知識についてまとめてくれました。彼女が最後に「対自己の知識が最も重要だと思っている」ということを書いていましたが、私も同様に思います。専門的知識も対他者の知識も、対自己の知識が備わっている人であれば、あとでいくらでも身につけることができると思いますが、問題は対他者の知識をいかに身につけるか、あるいはコーチ教育プログラムの中で身につけてもらえるように支援をしていくかが課題だと思います。私自身、自分ができていないことが自分では分からない場合がほとんどですし、自分自身を批判的に評価することは容易いことではないとつくづく感じています。 さて、玉田さんが紹介してくれたコーチの3知識をテーマにしたショートビデオを作成してみました。時間は1分42秒です。 いかがでしたでしょうか。今後、このようなビデオコンテンツもたくさん作って、気軽にコーチングについての学びができるような環境を構築したいと思いますので、楽しみにしてください!(伊藤雅充)■

伊藤雅充
2020年3月10日読了時間: 1分


コーチの「対自己の知識」
修士2年の玉田です。皆さん、感染症対策はできていますか?大規模なイベントが続々と中止になっている中、3月15日に開催予定だった日本体育大学大学院の修了式、3月17日からの日本コーチング学会の学会大会も中止になってしまいました。残念ではありますが、今はしっかりと感染拡散を防ぐために皆で協力すべきときであると理解し、前に進もうと思っています。 さて私が以前担当したのブログ記事で、コーチに必要な知識は「専門的知識」「対他者の知識」「対自己の知識」があると紹介しました。そして、これまでに 「専門的知識」 と 「対他者の知識」 について解説をしてきました。前回からだいぶ時間が空いてしまいましたが、今回は「対自己の知識」について解説していきます。 この記事のもとになった文献はこちら↓ Defining Coaching Effectiveness, A focus on coaches’ knowledge, Gilbert, W. & Côté J. In: Routledge handbook of sports coaching, eds by
玉田理沙子
2020年3月7日読了時間: 6分


ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(4)
いよいよ、「実践と勉強を通してハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(Developing High Performance coaching craft through work and study, by Mallett, Rynne, and Dickens, In: Routledge Handbook of Sports Coaching 」の紹介最終回となりました。初回は イントロとハイパフォーマンスコーチの仕事 について、第2回は ハイパフォーマンスコーチがどのようにコーチング能力を向上させていくのか について紹介がありました。第3回は 大学におけるコーチ教育プログラムについて 論が展開され、今回はこれまでのものをまとめる形となっています。 ハイパフォーマンスコーチの仕事と発達についての理解を進展させる ハイパフォーマンスコーチの成長を促進させることは、コーチ・アスリート・パフォーマンス関係を向上させるとともに、コーチの専門職化を推し進めるために重要である。本章の始めに述べたように、ハイパフォーマンスコーチングは比較的若い

伊藤雅充
2020年3月5日読了時間: 9分


ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(3)
皆さん、ご無沙汰しております。怒濤の2月が過ぎ、少しまたブログにかける時間を確保できそうになってきましたので、更新を再開したいと思います。ブログをお休みしていた間にもたくさんの学びを得ることができましたので、そのあたりもどこかで記事にできれば。 さて、今回はハイパフォーマンスコーチがどのようにしてスキルアップをしていくのかについてまとめられたブックチャプターの‘大学におけるコーチ教育プログラムについて’の部分を紹介します。これまでのことを思い出さねばという方は、以前の記事をご参照ください。 ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(1) ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(2) 大学でのコーチ教育プログラム:将来に向けたビジョン コーチングの仕事の中での学びと仕事を通しての学びに加え、フォーマルな第3次学習(訳者注:第1次が小学校primary school、第2次が高等学校secondary schoolで第3次は大学や専門学校等のことをいう)でのコーチ育成が取り上げられ、そこで、どのようにコーチが能力を向上させるのかにつ

伊藤雅充
2020年3月3日読了時間: 10分


ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(2)
前回に引き続き「実践と勉強を通してハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(Developing High Performance coaching craft through work and study, by Mallett, Rynne, and Dickens, In: Routledge Handbook of Sports Coaching」の紹介です。 前回はイントロとハイパフォーマンスコーチの仕事についての解説 がありました。今回は徐々にハイパフォーマンスコーチがどのようにコーチング能力を向上させていくのかという内容に入っていきます。 ハイパフォーマンスコーチは成長のための情報をどこから得ているのか 国際的なレベルでは、国のスポーツシステムが成功するかどうかがハイパフォーマンスコーチの果たす役割にかかっている、ということが一致した見解であり、ハイパフォーマンスコーチの成長をサポートすることが喫緊の課題であるといえる。しかしながら、コーチがどのようにスキルや能力を伸ばし、複雑な仕事を実行するのかは歴史的にもあまり注目されて

伊藤雅充
2020年2月11日読了時間: 8分


ハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(1)
以前にも紹介したRoutledge Handbook of Sports Coaching から、「実践と勉強を通してハイパフォーマンスコーチングの高度なワザを磨く(Developing High Performance coaching craft through work and study, by Mallett, Rynne, and Dickens」の日本語訳を記事にしてみたいと思います。 (文中に図37.1というのがでてきますが、現在私が海外出張中でその図を載せられなかったため、後日掲載するようにします。) はじめに: 背景と目的 オリンピックなどの主要な国際競技大会で世界最高のパフォーマンスを発揮するためにエリートアスリート達が行っている探求では、通常素質あるアスリートに対戦相手よりも優れた準備(例えば身体的、精神的、戦術的に)を行うことが必要である。スポーツにおいて成功したいという願望はますます国際的なものになってきており、卓越を求めていく重要な要素となっている。ハイパフォーマンスコーチ達は、優れたエリートアスリート育成の中心的

伊藤雅充
2020年2月8日読了時間: 9分
