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「女性コーチ実践コミュニティー」セミナー



 2020年3月18日(水)18:00〜20:30に、日本体育大学コーチングエクセレンスセンター主催女性コーチ限定の「コーチ同士で学び合う女性コーチのコミュニティー・オブ・プラクティス」オンラインセミナーを開催しました。今回はその内容を報告します。


 セミナーには8名の女性コーチが日体大外部から参加してくださり、日体大スタッフ4名が加わって、全12名で展開しました。参加者同士の相互作用をできるだけ多くしたいので、このくらいの人数で展開できるのが少なすぎず、多すぎずで良い感じがしています。

 セミナーの流れは以下の通りで計画していました。


  1. 導入(CCE紹介と本セミナーの概要)

  2. 課題の共有

  3. ケース・クリニックの準備

  4. ケース・クリニック

  5. 課題解決の実現化

  6. 振り返り

  7. まとめ


 実際には、その場の状況で少し合体させたりしながら即興で最後まで進めたところもありました。

 最初の課題共有で挙げられたのは、


  • 技術の伝え方

  • 選手との信頼関係、コミュニケーション

  • 選手の意思を尊重する範囲と方法

  • コーチ同士の関係性

  • 指導者としての自信


などでした。これらを大きく、「関係性について」と「指導法について」に分け、参加者それぞれのニーズにあわせて、どちらかのグループに入っていただき、ケースクリニックの準備に入りました。

 私たちは最近このケースクリニックという手法を頻繁に用いています。コーチが集まった際にそれぞれの経験を語り合い、お互いの課題をケースとして設定して、あるプロセスを踏んで課題解決に取り組んでみることで、そのケースを持ち込んだ人はもとより、そこに参加した人の多くが自分の実践を改善するための何らかのアイデアを得ることができます。今回のように豊富なコーチング経験を持つ実践家が集まった時に、その集団の特性を活かした研修のやり方として、とても有効だと感じています。

 関係性のグループで共有されたメンバーの課題には、以下のようなものがありました。


  • 競技力向上のためには厳しいことも言わなくてはならないことがあるが、どのように信頼関係を作っていくのかが課題である

  • 指導スタッフが5名以上いるが、スタッフ間での役割分担だけではなく、いかに共通認識を作っていくかが課題である

  • 選手との年齢が近いのだが、どのような関係性を築くことが望ましいのか悩んでいる

  • 選手の人数が多く、それぞれに適した関係性をどのように構築していくのかが悩ましい

 指導法に関するグループでは次のような課題が挙げられました。


  • 男女両方の指導を行っているが、その指導法は違えるべきなのか

  • ワザ、動きの感覚を上手く言葉で伝えるにはどのようにすればよいのか

  • 勝利をどこまで求めてよいのか

  • 試合に出られない選手、試合がない状態でのモチベーションのあげ方、保ち方

  • 自分が未経験の種目を男性に指導するためのアイデアが欲しい


 実際には、それぞれの参加者が、もっと具体的に例を出しながら生々しい話をしていますが、ここでは少し角を削いだ表現で書いています。それぞれのグループの中で経験談を共有しつつ、全員で面白そうなケースを一つ選んでもらって、もう一つのグループ(関係性グループは指導法グループに対して、そしてまたその逆)をクリニックに見立てて、ケースの相談に行く準備をしてもらいました。

 ケースクリニックの準備が終わると全体グループに戻り、それぞれの小グループからもう一方のグループに対して、ケースの相談をします。相談された側は、あーだこーだと、ある決められた時間内で、自分の経験も踏まえながら解決策についてディスカッションをしていきます。ケースの相談側グループはそのディスカッションを聞いたり、メモをとりながら、自分達にはなかった学びを得ていきます。

 詳しい内容はさておき、これらのプロセスを通して、参加してくださった方々が最後に述べてくれた感想を紹介したいと思います。


  • 他者の話を聞きながら、自分の事として捉えることができた。

  • 自分で話ながら、自分で新しい気づきがあった。

  • 指導法の話をしていたが、最終的にはコミュニケーションの話になっていった。複雑な問題であるように思っていたが、実はコミュニケーションが根本的な問題であることに気づいた。

  • 多様な年齢層、種目の人と話ができたことで、新しい視点をたくさん得ることができた。

  • 女性だけで話すことがとても面白かった。

  • 自分の問題を抱えつつも、他者の問題を解決するプロセスを経験することで、自分の悩みも違う角度で見つめ直すことができた。

  • これまで、このような場でコーチングのことを話し合ったことがなく、このような場がもっと欲しい。


 2時間半という時間でしたが、私もとても有意義な時間を過ごすことができました。このような場を設定するたび、常に新鮮な話が聞けるので、私が一番得した気分です。今後もこのような機会をどんどん作っていきますので、気軽に参加してください。(伊藤雅充)■

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