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「実力が出せなかった」—それが実力
試合や大会のあとによく耳にします。 「今日は実力が出せませんでした。」 でも、私はこう思うのです。 「実力を出せなかった」——それが実力です。 厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、運動学習の側面から見れば自然なことです。おそらくは「普段のトレーニングではもっと上手くできているのに」という思いから、そのように言っているのだろうと予想します。このような場合、一度、実力とは何か?を考えてみる必要があると思います。そして、普段のトレーニングの仕方を見直してみる必要があると思います。 指導者もアスリートも、トレーニングでできれば試合でもできるはずと思っているかもしれません。ただ、それは試合とトレーニングがしっかりとつながっている場合にのみ当てはまることです。言い換えれば、 オーセンティック(正統性、本物さ)なトレーニング ができているのか否か。ここがズレていれば、試合の場面で、トレーニングでのパフォーマンスが発揮できなくても当然です。 また、パフォーマンスは 変動 するもの、あるいは 平均回帰 するという性質を理解できているかどうかも重要な観点です。よ

伊藤雅充
19 時間前読了時間: 3分


勝負は勝たなければ意味がない?
今朝、電車の中で、ある広告に著名なアスリートの顔写真とともに「勝負は勝たなければ意味がない。そんなことは当たり前だ。でも、ただ勝てばいいのだろうか。相手を傷つけない…」と書かれているのを見かけました。 どういう意味で「勝たなければ意味がない」と言っているのかと疑問に思いました。本人の言葉なのかも分かりませんが、アスリートが時折口にする「勝たなければ意味がない」というのに、いつも首を傾げてしまう私なので、今朝も「ん?」と思ったのでした。私自身は、勝負に挑戦すること自体に意味があると思っています。結果はあくまでも副産物。 ただし、勝負の結果はどうでもよいとは思っていません。私も勝ちたくてたまりません。負けるのはいやです。 「勝たなければ意味がない」という時の「意味」とは何なのでしょうか? 「勝つ」ことによって得るものは何で、その意味とは? その何かを得られなかった場合に失うものとは? たとえば、プロ選手が勝たなければ収入がゼロになる、解雇される、といったような場合があるならば、収入を得るためには勝たなければ意味がないとかいうのであれば、ある程度は理解

伊藤雅充
4 日前読了時間: 2分


「してあげる」と「任せる」のあいだで
皆さん、こんにちは。伊藤です。 先日、岡山県津山市で研修会の講師を務めさせていただきました。この研修会、同じ場に子ども・保護者・指導者が集まり、お互いに語り合うというユニークなスタイルをとってみました。さまざまな研修を担当させていただいていますが、一つの空間に三者が揃う研修は珍しく、私自身、これが上手くいくのか?という疑問も持ちながら、同時に私自身のスキルを伸ばすチャンス!と思いながら「学びの実験」をしてみました。 この研修に際して、とても興味深い質問を頂きました。それは、 親は、子どもにどこまで「してあげる」べきなのか? というものです。子育て、教育、スポーツの現場で多くの方が悩まれている課題だろうと思います。私自身親として、指導者として、教員として、同じような悩みをいつも抱えてきました。この問いに対して、その場でどのような話し合いがされたのか、私がどのようにその場で考えたのかをまとめてみたいと思います。 子どもたちの声を“待つ” 「親はどこまでしてあげるのがいいのか」。事前アンケートで、ある保護者から寄せられた質問を、そのまま子

伊藤雅充
11月7日読了時間: 6分


NCDAがブータンオリンピック委員会とMoU締結
2025年10月29日、ブータンの首都ティンプーで、ブータンオリンピック委員会(BOC)と日本体育大学コーチデベロッパーアカデミー(NCDA)が、コーチ育成と教育的連携に関する覚書(MoU)を締結しました。この協定は、スポーツコーチングの専門知識の相互交換、共同プログラムの促進、そしてコーチング文化の創造を目的としています。 パートナーシップの始まり 署名式では、BOCのソナム・カルマ・ツェリン事務総長が「このMoUは共通の価値観と目標に基づく新たなパートナーシップの始まりです」と述べました。また、「コーチは選手を強くするだけでなく、人を導く存在です。だからこそ、コーチを支える仕組みを整えることが重要です」と語っています。BOCは、国内のスポーツ発展を支える中核機関として、今後のコーチ育成や教育的交流を重視していく姿勢を明確に示しました。 ブータン側は、政治的安定と地域的中立性を活かし、スポーツを地域協働や平和促進の手段として発展させていく構想を語っていました。このようなビジョンは、スポーツを社会的・教育的な活動として位置づけるBOCの方針と

伊藤雅充
11月1日読了時間: 4分


HOPE事業を展開しています。
こんにちは。伊藤雅充です。 今回は、私たちのチームが取り組んでいるHOPE事業について紹介したいと思います。 日本体育大学は、令和6年度および令和7年度の スポーツ庁委託事業「国際情勢に応じた海外アスリート等支援事業」 を受託し、紛争や災害などの影響により自国で十分なトレーニングを行うことができないアスリート等を日本に招へいし、安全かつ安心して練習できる環境を提供しています。 私たちは、この受託プロジェクトを HOPE(High-performance support for Overseas Para-athletes under Emergency) と名付けました。HOPEという名称には、困難な状況にあるアスリートを支えるだけでなく、「スポーツを通じて人と人がつながることで新しい希望を生み出す」という思いを込めています。 令和6年度の事業は、 パレスチナ、イエメン、レバノン、アフガニスタン の4か国を対象として実施しました。まずパレスチナNPC(National Paralympic Committee)選手団(陸上競技と卓球)を日本に招へ

伊藤雅充
10月21日読了時間: 3分


Coach the Coach ― Building a Winning Coach Culture(勝つ文化を育てるコーチング)
皆さん、こんにちは。伊藤雅充です。 2025年5月にマレーシアで行われた国際スポーツコーチング会議にて講演を行いました。その際、マレーシア国立スポーツ研究所(ISN)が運営するポッドキャスト番組 Perform Podcast に、日本体育大学コーチデベロッパーアカデミー(NSSU Coach Developer Academy)ディレクターとして出演しました。テーマは「Coach the Coach ― Building a Winning Coach Culture(勝つ文化を育てるコーチング)」。今回の記事では自動文字おこしのデータを使って作成した要約(AIによる)を紹介します。 コーチング文化の基盤は「学び続ける姿勢」 最初に問われたのは「勝つコーチ文化とは何か」。国や文化が異なっても、優れたコーチやコーチデベロッパーに共通するのは、 自らを高め続けようとする意欲 だと感じている。 「学びたいという姿勢こそが、コーチング文化を育てる土壌になる。」 この“学び続ける心”が、国や競技を超えて指導文化の質を決定づけると強調した。...

伊藤雅充
10月12日読了時間: 4分
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