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NEPPプログラムの成果が日本政府広報誌『KIZUNA』に掲載
こんにちは。伊藤雅充です。 私たちのチームで受託していたスポーツ庁委託事業戦略的二国間スポーツ国際貢献事業パラ参加国最大化事業(日体大での愛称:NEPP)の成果が政府広報紙『KIZUNA』に掲載されました。リンクを貼っておきますので、是非ご一読頂ければ幸いです。 https://www.japan.go.jp/kizuna/2021/10/first_paralympic_appearance.html 簡単に要約も掲載しておきます。 要約:東京 2020 パラリンピック初出場の舞台裏 東京 2020 パラリンピックには世界中から 162 の代表団が参加した。そのうち、 6か国 が本大会に初出場した。 その内の多くは、 日本体育大学(Nippon Sport Science University:NSSU) が支援した国だった。日本の大学が、発展途上国や委託先国のパラアスリート/関係者を支援した事例である。 たとえば、パラグアイ初のパラリンピアンである ロドリゴ・ヘルモサ は、50m 自由形 S9 クラスで 29.72 秒を記録。30秒の壁

伊藤雅充
2021年10月22日読了時間: 2分


第6回研修会を開催しました
1年の延期を経て開催された、東京オリンピック・パラリンピックが閉幕しました。 開催期間中は、本プログラムの対象コーチやサポーターたちも様々な形で参加されており、その活躍を一目見ようと毎日テレビから目が離せませんでした。開催には賛否両論がありましたが、少なくとも未来のオリンピック・パラリンピックに向けて女性コーチを育成する私たちスタッフにとっては大きなモチベーションとなり、大変気持ちの熱くなる期間だったことには間違いありません! 興奮冷めやらぬまま、今年度2回目の研修会(通算6回目)が、 2021年9月13日(月)〜9月17日(金) に行われました。 第6回研修会は、以下のゴールを目指して実施しました。 自身が抱える課題(提供した話題)の解決に向けた次の一歩が決まっている ハイパフォーマンス(HP)プロジェクトに盛り込むべき内容が整理できている HPプロジェクトの内容のうち、自身が今後理解を深めていくべき要素が特定できている HPプロジェクト内容のうち、オープンスペース学習をファシリテーターとして主導する準備ができている...
WECスタッフ
2021年9月27日読了時間: 7分


【Coach's Report:冨部柚三子(セーリング)】コーチングメンターとのメンタリングの様子をお届けします!
本プログラムでは、各対象コーチに コーチングメンターとキャリアメンター が配置されています。 コーチングメンターは、対象コーチのOJTに関する相談やコーチングスキルに関する助言・アドバイスをし、OJTが円滑に進むように支援します。また、より効果的なメンタリング実施のために、コーチングメンターが実際の指導現場を訪問・観察し、その場でプロフェッショナル・ディスカッション等を行うといったサポートも行います。 一方キャリアメンターは、対象コーチがエリートコーチへとキャリアを歩むにあたり障壁となる課題(例えば、結婚や出産・育児、介護等のライフイベントとの両立等)を整理し、解決策を共に模索・準備しながらエリートコーチとしてのキャリア形成ができるよう支援しています。 今回は、 冨部柚三子さん がコーチングメンターと実際に行っているメンタリングの様子をレポートしてくれました! 私のコーチングメンター 私のコーチングメンターは、日本ラグビーフットボール協会女子15人制日本代表チームディレクターの浅見敬子さんです。浅見さんは同種目の日本代表経験があり、引退後
WECスタッフ
2021年8月23日読了時間: 5分


第5回研修会を開催しました
本学が昨年度よりスポーツ庁から受託した、「女性アスリートの育成・支援プロジェクト『女性エリートコーチ育成プログラム』」は2年目を迎えました。 そして、2年目初となる研修会(通算5回目)が、2021年7月5日(月)〜7月9日(金)に行われました。 全8回の研修も半分が終了し、内容も高度になりつつあります。それでは、研修会の内容を簡単に振り返ってみましょう。 第5回研修会は、以下のゴールを目指して実施しました。 自身が抱える課題(提供した話題)の解決に向けた次の一歩が決まっている コンピテンシーリストの内容から対象コーチ全体に共通する課題をリストアップできており、行動として評価できる形で整理できている スキルアップするテーマが明確になり、改善に向けたワークショップ内容を企画できている ワークショップ運営を通じて、自身のプレゼンテーションスキルとファシリテーションスキルの課題が明確化し、改善に向けた次の一歩が決まっている 自身が指導で活用できそうなスポーツ医・科学的アプローチを一つは見つけられている 新たにコーチングで取り入れるスポーツ医・科学的アプ
WECスタッフ
2021年7月28日読了時間: 5分


第2回サテライト・レクチャー「ナショナルチームの組織マネジメント」を開催しました!
コーチが効果的なコーチングを実践していくためには、コーチが他者と円滑にコミュニケーションを取るための「対他者の知識」、コーチとしての自分を磨き成長し続けるための「対自己の知識」、そしてスポーツ特有の技術やスポーツ医・科学などを含む「専門的知識」の3つの知識が必要だと言われています。女性エリートコーチ育成プログラムの「サテライト・レクチャー」では、コーチングに必要な専門的知識の獲得を目指していきます。 第2回目は、チームを率いるリーダーには欠かせない”マネジメントスキル”について学びます。本プログラム修了生でもあり、先日、日本ラグビーフットボール協会の副会長に就任されたばかりの 浅見敬子さん にご登壇いただきました。 【第2回概要】 ■ 日 時:6月22日(月)13:00〜14:30 ■ 講 師:浅見 敬子(あさみ けいこ) 日本ラグビーフットボール協会 副会長 ■ テーマ: 「ナショナルチームの組織マネジメント」 浅見さんは日本体育大学在学中に、当時はまだマイナー競技だった女子ラグビーに出会い、日本代表選手としても活躍されました。競技引退後は
WECスタッフ
2021年6月22日読了時間: 5分


令和3年度海外研修代替イベント①「諸外国の事例から女性コーチのキャリア形成を考える」〜アイルランド編〜を開催しました
日本体育大学はスポーツ庁の委託を受けて、ナショナルチームクラスで活躍を目指す女性コーチを対象に、ハイパフォーマンス領域で強みとなるコーチングスキルの向上を目指して 「女性エリートコーチ育成プログラム」を提供しています。 ナショナルチームクラスのコーチは国際的な場で活躍することが求められるため、本プログラム受講者を対象に、諸外国で女性コーチ普及活動の最前線で活躍する人物や女性エリートコーチのロールモデルとなる人物に出会う機会をつくり、国際的なネットワークづくりと国際人としての意識を醸成することを目指して、海外研修が組み込まれています。 昨年度に引き続き、令和3年度もコロナウイルスの影響で海外渡航ができる見通しが立たないため、オンラインによる座談会形式で代替イベントを実施しました。 ■日時: 2021年5月27日(木) ■全体日程を通してのテーマ: 各日程でさまざまなコーチにより紹介されるグローバルムーブメント・グローバルトレンドを通じて、諸外国の事例から学ぶ女性コーチのキャリア形成について考えます。 ■講師: ヘイリー・ハリソン氏(ア
WECスタッフ
2021年6月1日読了時間: 5分


第1回サテライト・レクチャー「エリートコーチが知っておきたい女性アスリートのコーチング」を開催しました!
日本体育大学は令和2年度よりスポーツ庁の委託を受けて、ナショナルチームクラスで活躍できる女性コーチの育成を目指す「女性エリートコーチ育成プログラム」を展開しています。 コーチが効果的なコーチングを実践していくためには、コーチが他者と円滑にコミュニケーションを取るための「対他者の知識」、コーチとしての自分を磨き成長し続けるための「対自己の知識」、そしてスポーツ特有の技術やスポーツ医・科学などを含む「専門的知識」の3つの知識が必要だと言われていますが、「サテライト・レクチャー」では、コーチングに必要な専門的知識の獲得を目指していきます。 前年度までは、知識獲得機会として研修会を実施していましたが、令和3年度は対象コーチたちの学びを一層加速していくための取り組みとして、年度内4回の研修会に加えて、定期的にこのプログラムを実施していきます。 今回は2021年5月17日(月)に実施した、第1回目の内容について振り返っていきたいと思います。 【第1回概要】 ■ 日 時:5月17日(月)13:00〜14:30 ■ 講 師:須永 美歌子(すなが みかこ) 日
WECスタッフ
2021年5月18日読了時間: 3分


マイクロコーチングを使ってコーチングスキルを向上させる
皆さん、はじめまして。日本体育大学体育学部コーチング学系助教の廣岡大地です。まず簡単に自己紹介を行いたいと思います。私は2020年に本学大学院を修了しました。修士論文ではコーチのファシリテーションスキル向上を目的としたアクションリサーチ(自分のコーチングをビデオに撮影し、それをネタに指導教員や仲閒たちとミーティングをしてコーチングスキルを数ヶ月かけて向上させていく研究)を行いました。その後、神奈川県にある高等学校の非常勤(保健体育)として働きながら硬式テニス部のアシスタントコーチとしてアスリートに指導を行っていました。そして4月からは日本体育大学助教として働いています。現在指導現場がなくなってしまい探し中なので、もし紹介していただける方がいましたら是非ご連絡ください! では本題に入りたいと思います。現在スポーツ科学やテクノロジーの発展が著しく、それに伴いコーチに求められるスキルや能力もより高度で多様化してきています(日本コーチング学会,2017)。その為、コーチは過去に受けてきたコーチングや行ってきたコーチングに囚われないようにし、常にコーチン
廣岡大地
2021年5月7日読了時間: 6分
STB第1回「導入(授業概要の解説)」
「技(ワザ)」を磨いていくためにはどのようなことを考えていけばよいのか、効率的なスキルアップの方法とはどのようなものなのかを考えていく授業、それがこのスポーツトレーニング論Bです。皆さんのほとんどはアスリートとして日々のトレーニングに励み、パフォーマンスアップに向けて心も体もワザも磨き続けていますね。この授業が皆さんの競技力向上に対する新しいアプローチ法を提供することになれば、とても嬉しく思います。また、この中には将来指導者としてのキャリアを考えている人も少なくないと思います。これから皆さんが上級生になっていき、練習をリードする立場になっていったとき、自分の競技力だけでなく、後輩達のスキルアップに対して、より良い支援ができるようになるでしょう。それがチーム全体の底上げに繋がり、自分自身の競技力向上にもポジティブな影響を与えてくれることでしょう。このような経験を通して、大学を卒業するころには、即戦力の指導者として羽ばたく準備ができていることと思います。 まず、この授業の概要、そして到達目標を確認しておきましょう。 【授業科目の概要・到達目

伊藤雅充
2021年4月15日読了時間: 7分
STB第2回「効果的なスキルトレーニングとは」
第2回の授業では、どのようなスキルトレーニングが効果的なのかを考えていきます。まず次の質問に答えてください。 【質問1】 今日の授業のテーマは「スキル」トレーニングです。このスキルという言葉は何を意味するものでしょうか。スキルに似た言葉として「テクニック」がありますが、スキルとテクニックの違いは何でしょうか。 この先を読み進む前に、質問に対する回答を書いてみてください。頭の中で考えるだけでなく、文字として書いてみることが重要です。スポーツのスキルトレーニングと同様、頭で理解した「つもり」になっているだけでは十分な理解とはいえません。書いたり話したり、アウトプットすることで自分が本当に理解しているのか、どこが自分がつまづいていることなのか、本当は適切に理解していないかもしれないということを知ることができます。うまく説明できなくても心配しなくて大丈夫です。おそらく、自信を持って適切に答えられる人は少ないと思います。ここでは、正解を言うことが重要なポイントではなく、うまくできないかもしれないことにチャレンジすること自体が重要です。...

伊藤雅充
2021年4月14日読了時間: 7分


STB第3回「運動学習理論の概要」
運動学習とは 今日、学習することは「運動学習理論」です。運動学習理論は文字通り、「運動を学習していくメカニズムの理論」です。今まさに皆さんはスマホやタブレット、あるいはPCでこのウェブテキストを見ています。スマホを使い始めた時、あるいはPCの操作を覚えるときに、どのようにそれを覚えた(学習していく)のでしょうか。今、授業ではMicrosoft Teamsを使っており、初めてTeamsに出会った人も少ないないことと思います。どのように新しいアプリケーションの使い方を学習していくのでしょうか。アプリケーションの使い方については「運動」とはなかなか言えないかもしれませんが、どう動かせばよいのかを学ぶという意味では同じだと思います。 アプリケーションの使い方が運動学習といえるかどうかを考えていたとき、ふと頭の中にe-sportsが思い浮かびました。e-sportsで画面の中でサッカー選手や格闘選手を動かすのは運動学習と言うのでしょうか。皆さんも是非悩んでください。そして、それぞれの考えを聞かせてもらえると嬉しいと思います。 動きを起こす...

伊藤雅充
2021年4月13日読了時間: 14分


STB第4回「練習の種類」
みなさん、こんにちは。スポーツトレーニング論B(技)の第4回目の授業を始めましょう。今日のテーマは「練習の種類」です。 すぐに覚えられることと、なかなか覚えられないこと 今日の話は、典型的な運動学習理論の延長線上のことです。人間がある行為を上手くなっていくにはフィードバック回路を何度もまわす、つまり繰り返し練習が必要であることは、前回の授業で扱いました。実際にやってみることで、自分が理想とした動きや結果ができたのかどうかを評価(理想と実際の状態の比較)し、その差分をフィードバックとして脳に入力し、次の行動を少しずつ変化させていっていると考えられています。 物事を覚える際に、それほど繰り返しをしなくても、すぐに覚えてしまう場合がないわけではありません。逆に繰り返せば繰り返すほど覚えるかというとそうでない場合もあります。運動ではありませんが、英単語を覚えることを想像してください。一回出てきただけで覚えてしまう単語があるかと思えば、何回出てきても辞書を引き続け、「あー、この単語、前にも調べたよ!」と思い続けるものもあるでしょう。この差はどのよう

伊藤雅充
2021年4月12日読了時間: 15分


STB第5回「効果的なフィードバック」
第5回目の授業のテーマは「効果的なフィードバック」です。今回の授業を通して、コーチとしてどのような関わり方をしていけば、アスリートの学習を促進させることができるのかを学んでいきましょう。 コーチの存在意義は? 運動学習理論を学んだ時、アスリート自身の中で適切なフィードバックを行うことがスキル向上に不可欠な要素であることを述べました。運動を実施するのはアスリートであり、アスリート自身が自らの意志でどのように体を動かしていくかが問われるスポーツにおいて、スキル向上に関する最も重要な観点はアスリート自身が主体的に自分をコーチングしていくことにあることは想像に難くありません。 そのことを大前提におきつつ、コーチの果たすべき役割を考えていくことが重要です。アスリートが自分の力でできることがたくさんあります。自分でできるところをコーチが良かれと思って手伝うことで、一人でやる能力を奪い取っているなどということも十分考えられます。とは言うものの、自分の修正すべき点が自分ではよく変わらない場合があるのも事実です。コーチが、アスリートとは違った視点を提供したり、

伊藤雅充
2021年4月11日読了時間: 11分


STB第6回「非線形学習理論の概要」
第6回目の授業を始めましょう。今回の新しいテーマは「非線形学習理論の概要」です。 システム思考 どのようなフィードバックが効果的かについて、さまざまな側面に触れてきましたが、結局のところ、絶対うまくいくフィードバックというものを断言することはできませんし、逆に絶対的にダメなフィードバックというのもはっきりと言うことができません。なぜかというと、It depends…つまり、時と場合によって同じフィードバックを与えたとしても、それによって引き起こされる結果が異なってくるからです。この点については第5回「効果的なフィードバック」の回でも触れました。コーチングは混沌の中で行われる構造化された即興であり、何が効果的なコーチングとなるかは、コーチングが行われる文脈に依存するのです。文脈とは、そのコーチングが行われる場の特徴と言い換えることができます。文脈は常に変化しており、留まることを知りません。 時が流れ、それとともに全てのものが変化しています。みなさん、このフレーズは聞き覚えがあるでしょう。 祗園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。 娑羅双樹の花の

伊藤雅充
2021年4月10日読了時間: 11分


STB第7回「非線形学習理論の適用」
先週の授業で、非線形学習理論について学びました。今回と次回は非線形教授法について、もう少し詳細に解説することにします。 スキルの学習を目指した練習を作るとき、試合でのパフォーマンスを個々のパーツに分解し、それらを個別にドリル練習で繰り返し練習し、統合していくというパターンを思いつく人が多いと思います。この方法は、以前にも話をしたように、テクニック(技術)の練習はしていても、スキル(技能)の練習になっているかどうかは疑問です。みなさんがこれまでに行ってきたスキル練習を思い起こしてください。どのくらいの人が本当の意味でスキル練習をしてきたでしょうか。スキルは必ずしもステップ1→ステップ2→ステップ3と直線的な発達をするとは限らず、途中のステップを飛ばしてステップ3がいきなりできる人もいるでしょう。直線的な学習理論が当てはまらないこともありますから、非線形の学習理論もしっかりと頭に入れておき、その場の状況に応じていろいろ使い分けられるようにしておきましょう。 非線形の学習理論をコーチングに活かす 非線形学習理論を単純な動作を学ぶ際にどう活用するかを

伊藤雅充
2021年4月9日読了時間: 12分


STB第8回「非線形学習理論の実際(Game Sense)」
第6回、第7回と非線形の学習理論とそれに基づく教授法について基礎的な内容について概説してきました。要素還元主義的なやり方では複雑で動的なゲームのスキルを身につけることは容易ではなく、特にサッカーやラグビー、バスケットボールなど、オープンスキル系(求められるスキルが予測困難な種目)のスポーツではもっと違ったやり方が求められてきました。体操競技や陸上競技、競泳といったクローズドスキル系(求められるスキルが比較的予測可能な種目)のスポーツでは、オープンスキル系のスポーツほどはゲーム性が求められないものの、非線形の学習理論そのものは大いに役立つ考え方であるといえます。 今回は特にオープンスキル系の種目を行っている人には腹落ちしやすい内容であると思います。一方でクローズドスキル系の種目を行っている人には、直接的にピンとこないかもしれません。しかし、人間がどのように運動を学んでいくのかという観点から考えれば、どのような種目を専門としていようが関係ありません。非線形の学習理論をオープンスキル系の種目がどのように練習に取り込んでいっているのかを学び、自分の競技

伊藤雅充
2021年4月8日読了時間: 7分


STB第9回「バイオメカニクス的考察(運動の法則)」
第9回から、バイオメカニクス的視点から動作を観察、分析、理解していく能力を高めることを目的として授業を展開します。スポーツバイオメカニクスの授業が3年時に設定されていますので、詳細についてはその授業で学ぶこととし、スポーツトレーニング論Bの授業では、あくまでもスキル向上にバイオメカニクス的視点を活用するという観点からの考察にとどめます。 バイオメカニクスとは バイオメカニクスという言葉を聞いただけで、「難しそう」と敬遠したがる人もいるかもしれません。どのような学問も細部に入っていけば、理解は容易ではありませんが、実学としてのスポーツバイオメカニクスは、スポーツの競技力向上を目指す人であれば好き嫌いに関係なく、必要性を感じるもののはずです。バイオメカニクスが目的ではなく、競技力向上を目的にしているのですから、競技力向上に役立つのであれば、それを勉強しないという選択をする人は競技力向上を真剣に考えていないという人ということになるでしょう。 バイオメカニクスは、生体や生物を意味するバイオと、機械や機械が動く仕組み・機序、力学を意味するメカニクスが合

伊藤雅充
2021年4月7日読了時間: 20分


STB第10回「バイオメカニクス的考察(重心・姿勢の安定性・フットワーク)」
第10回目の授業を始めましょう。前回からバイオメカニクスの知識をスキル改善に役立てることを目的とした授業を展開しています。今日の授業では重心、姿勢の安定性について扱い、関連してフットワークに関する分析を紹介します。 重心 みなさんは「重心」という言葉を何度も聞いたことがあると思います。スポーツの場面でも「重心を落とせ!」といった表現が普通に使われています。簡単に使っているものの、この重心とは何なのか、まずそれを学びましょう。 重心は英語ではCenter of Gravityと言います。直訳すると重力の中心です。みなさん、自分の体で考えてみましょう。体を頭部、手、前腕、上腕、体幹、大腿、下腿、足に分けて考えると、それぞれの部分に重力が働いており、それぞれが地球の中心に向かって引っ張られていますね。それぞれに働く重力を一つにまとめた合力の作用点を重心と呼んでいます。 ちょっと簡単な実験をやってみましょう。あまり形の変わらないものを用意してください。どこでも摘まめるものが都合良いと思います。任意の場所を軽く摘まんでぶら下げてください。そして摘ま

伊藤雅充
2021年4月6日読了時間: 10分


STB第11回「バイオメカニクス的考察(慣性モーメント・ムチ作用)」
第11回の授業では「慣性モーメント」と「運動連鎖(からだのムチ作用)」について扱います。いきなり難しそう、というイメージを持った人、自分の固定概念に負けないようにしてください。記憶しようとすると手強いですが、自分の経験と合わせて理解していこうとすれば、それほど難しいものではありません。 慣性モーメント 以前の授業で「慣性」について学びましたが覚えているでしょうか。どういうことを慣性といったのか、心の中ででも大丈夫なので説明してください。「慣」は「慣れ(なれ)」ですね。慣性の意味をうまく説明できないという人は、慣れるという言葉をどのようなときに使うかを考えてみると覚えやすいかもしれません。皆さんもオンライン授業へと変化があったときには多少戸惑ったかもしれませんが、徐々に慣れてきて、普通に思ってきているのではないでしょうか。むしろ、この状態になれてくると、逆に対面式授業へ参加することがおっくうになってしまう人もいるかもしれません。その状態に慣れるというのは、その状態から変化しない、その状態を続けるといった意味になります。同様に、物体の慣性というのは

伊藤雅充
2021年4月5日読了時間: 10分
STB第12回「バイオメカニクス的考察(バネ的特性)」
第12回はバイオメカニクス的考察でヒトの体のバネ的特性についてみていくことにします。 バネ的特性 先週の授業で体のムチ作用について扱いました。ヒトの四肢は体幹に近いほど質量が大きく、末端に行くにつれて質量が小さくできています。この構造の特性を活かし、さらに慣性モーメントを操ることで、よりスピーディーでパワフルなスポーツパフォーマンスが可能になります。体幹部分に存在する大きな筋群を使って運動を起こし、そのエネルギーをうまく末端に伝えていく体の使い方(例えば「から竿」作用を使いこなして)ができているかどうか、皆さんの練習や試合の場面で観察してみましょう。 ムチ作用の効果を得ていくためには、から竿作用だけでなく、ヒトの体に備わっているバネ的特性をうまく活用する必要があります。もう少し、このバネ的特性を詳しくみていきましょう。 垂直跳びで考えてみよう みなさんの周りに垂直跳びをするスペースがあれば、試しに垂直跳びをやってみてもらいたいと思います。ただし、以下の条件でやってみてください。 立位姿勢からごく普通に垂直跳びを行ってみましょう。(通常垂

伊藤雅充
2021年4月4日読了時間: 10分
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