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日本体育大学コーチング学
2022年度後学期授業一覧 第01回 コーチング学導入 第02回 コーチング哲学 第03回 アスリート・センタード・コーチング 第04回 セーフスポーツを実現させるコーチング 第05回 コーチに必要とされる知識と基本的機能 第06回 コーチング環境を整える 第07回 年間計画を立案する 第08回 目的が明確な練習メニューを組む 第09回 アスリートの4C'sを導く4つのアプローチ 第10回 言葉の力を磨く 第11回 聴く力と観る力を磨く 第12回 ユーススポーツのコーチング 第13回 コーチとしての学び 第14回 ハイパフォーマンスコーチング 第15回 様々な文脈におけるコーチング

伊藤雅充
2022年9月16日読了時間: 1分
第1回「コーチング学導入」
2022年度後学期コーチング学 さあ皆さん、これから半期15コマのコーチング学授業を始めましょう。第1回は、この授業の到達目標や授業の展開方法等、受講するに当たっての注意事項の確認を行います。 【授業科目の概要・到達目標】 コーチングの知識やスキル(特に対他者の知識とスキル、対自己の知識とスキル)はスポーツに携わる専門家としての実践力を高めることはもちろんのこと、それ以外の活動にもおおいに役立つと考えられます。本授業では、コーチング学領域の各種研究によって得られた学術的知見を基盤にしたコーチングについて学修していきます。本授業を終えるとき、受講している皆さんは、 コーチングの本質について自らの意見を明確に述べられること、 対象者の文脈を考慮した適切なコーチング計画が立案でき、その運営に必要な基礎的コミュニケーション力を身につけている、 柔軟な思考によって多種多様なコーチング文脈に対応するプランを立てられること、 自らの学び計画が立てられること、 が期待されます。 さて、到達目標についての理解度はどの程度でしょうか。毎回、授業に関する理解度

伊藤雅充
2022年9月15日読了時間: 8分
第2回「コーチング哲学」
2022年度後学期コーチング学 第2回授業のテーマは「コーチング哲学」です。皆さんの中には既にコーチとしての活動を行っている人もいると思います。皆さんが現役のアスリートである場合は、正式な形でコーチングをした経験はないかもしれませんが、自分が意識しているかどうかは別として、他のアスリートにアドバイスをしたりなど、広い意味でのコーチングを行っているのではないでしょうか。そして何よりも皆さんはコーチングを受けてきた経験は全員にあるのではないかと予測します。今日の話題であるコーチング哲学はもちろんのこと、この授業全体にわたって、「自分にはコーチングの経験がないので分からない」と考えるのではなく、正式なコーチとアスリートの関係以外のさまざまな関係性の中で現れる行為や、アスリートとしての経験も踏まえつつ、自分のこととして考えていきましょう。 用語の定義 この授業を進めるにあたり、頻繁に用いる「コーチング」、「監督・コーチ・指導者」、「アスリート・選手・プレーヤー・競技者」について定義をしておきます。これらの言葉を使ったとき、皆が同じことを思い浮かべてい

伊藤雅充
2022年9月14日読了時間: 12分


第3回「アスリート・センタード・コーチング」
2022年度後学期コーチング学 みなさん、こんにちは。コーチング学授業の第3回目を始めましょう。今日のテーマは「アスリート・センタード・コーチング」です。今日の授業のアウトカム、つまり到達目標は、 自らが書き出したコーチング哲学が導き出された背景について説明ができる アスリート・センタード・コーチングの基本的な理論的背景について説明できる と設定して学習を進めていきます。 自己認識 前回の授業で、コーチング哲学を言葉として表現してみることを行いました。その際に、自分が大切にしている価値が何なのかについて考えてみることを勧めました。コーチという立場であろうがなかろうが、自分が大切にしている価値を意識することは、自分の行動を一貫したものにするのに役立ちます。 皆さんが本当に大切にしている価値は、今皆さんが「これだ」と口にしているものではない可能性もあります。皆さんは、自分が意識していない、無意識の前提認識に操られているかもしれません。たとえば、「アスリートが主体的に考え、積極的に新しいことに挑戦し、成功や失敗を含む全ての経験から学習して、挑戦し

伊藤雅充
2022年9月13日読了時間: 30分
第4回「セーフスポーツを実現させるコーチング」
みなさん、こんにちは。第4回の授業を始めましょう。今回のテーマは「セーフスポーツを実現させるコーチング」です。これは、コーチングを行う上で最も根本的なテーマであり、アスリート・センタード・コーチングの実践においても欠かせないものです。前回の最後に触れたとおり、スポーツ自体は善でも悪でもなく、それを実践する人間、特にコーチの考え方やそこから生まれる行動がスポーツの意味づけをしていくことになります。今回の学修を通して、スポーツの目的や倫理観、好ましい環境の整備などについて考えていくことにしましょう。 個としての価値観と社会 第2回および第3回の授業で、自己認識を通して、自らが大切にしている価値を顕在化させることが重要であると学びました。チームとして活動している場合には自分の価値観だけでなく、他の人たちの価値観も大切にしつつ、チームとして大切にする共有価値を見いだし、その共有価値に基づく価値基盤型コーチング(Value-based Coaching)を行っていくことが求められると述べました。 それぞれが持つ価値観は、それぞれが持つ色眼鏡、あるいはフ

伊藤雅充
2022年9月12日読了時間: 31分


第5回「コーチに必要とされる知識と基本的機能」
前回までの授業では、コーチングの最も基盤となる、コーチの価値観や倫理観、コーチング哲学などについて考えてきました。スポーツは善でも悪でもなく、スポーツをコーチングするコーチの考え方の影響を大きく受けることを説明しました。その考え方は、コーチが過去にどのような経験をしてきたかによって形作られており、無意識のうちにコーチの言動を制御している場合も少なくありません。皆さんもコーチングをする際には、自分という人間がどのようにできあがってきたのかを探り、未来をどうしたいのかを考え、そこにギャップがあれば、自分自身の考え方や言動を修正していくようにしましょう。 自分自身のことを振り返り、より理解を深めていくことを 自己認識 と言います。他者理解を進めていくためには、まず自己認識を進めておく必要があります。人間は何かしらの色眼鏡(経験によって形作られたバイアス)を通して相手を評価していますので、自分で意図的に違った視点から物事をみたり、できる限りバイアスをなくした物の見方ができるように自分をトレーニングしていきましょう。 自己認識や振り返りによる行動修正を

伊藤雅充
2022年9月11日読了時間: 25分


第6回「コーチング環境を整える」
人間は環境と関わりながら様々なことを学んでいる コーチング学第6回授業を始めましょう。今日のテーマは「コーチング環境を整える」です。皆さんがアスリートとして取り組んでいる(いた)場面を思い浮かべてください。皆さんはどのような環境の中でスポーツを実施しています(いました)か。人間にとって、周りの環境がどのようなものであるかは、人生そのものに大きな影響を与えます。このことは既に何度も述べてきました。私たちが何気なく生活してきた環境が私たちの考え方やものの見方、行動様式などに大きな影響を与えています。スポーツパフォーマンスも例外ではありません。雪の降らない地域では、スキーを行うために多くの労力を使わなくてはなりませんが、雪国では日常生活の中にスキーの「滑る」という動作が入っていることもあります。幼少期に「滑る」感覚を身につけていないと、大人になってゼロからスキーを始めて上手くなっていこうとするとなかなかの困難が伴います。生まれ育った都市のサイズや、生まれた月によって、スポーツパフォーマンスに影響があるという研究報告もあります(この点については第12回

伊藤雅充
2022年9月10日読了時間: 16分


第7回「年間計画を立案する」
第7回目の授業をはじめましょう。今日のテーマは「年間計画を立案する」です。パフォーマンス向上の計画をたてることはコーチにとってとても重要なスキルです。ただ闇雲に同じ事を繰り返したとしても、効率的、効果的な競技力の向上は望めません。スポーツ医・科学の進歩や、インターネット等による情報技術の進歩の恩恵を受け、競技レベルが年々向上しています。以前は国際的なレベルの選手が行っていたテクニックをジュニア選手が行ったりする場合もあります。偶然性にまかせた競技力向上ではたどり着ける場所がそれほど高くなくなってしまう可能性が高いのです。しかし、レクリエーションでスポーツを実施すること自体が目的である場合は、計画を持つことの重要性はそれほど高くないかもしれません。ただ、レクリエーション的なスポーツにおいても、体力の維持や向上を目的とした場合には、競技者ほどでないとしても、怪我の防止や、効果的な目標達成を考えれば、やはり計画的にスポーツ実践を行っていくことが重要でしょう。 なぜそれをするのか(目的と目標) 計画を立てる際に、まず考えるべきは、「なぜ、それをする

伊藤雅充
2022年9月9日読了時間: 20分
第8回「目的が明確な練習メニューを組む」
みなさん、こんにちは。第8回目の授業を始めましょう。今日のテーマは「目的が明確な練習メニューを組む」です。前回の授業では、「年間計画を立案する」ことをテーマに挙げ、長期目標から中期、短期目標を考えていくというプロセスを経験しました。また、優勝する、代表になるといった達成目標をたてるだけでは、その目標を達成するためにどのような練習をすれば良いのかが分からず、ただ「頑張る」だけの練習になってしまい、目標地点にたどり着くことが難しいことも学びました。設定した達成目標を実現させるためには、どのようなパフォーマンスを発揮する必要があるのかを考え、パフォーマンス目標を設定する必要があるのです。 また、価値を基盤としたコーチング、価値あるいは目的を実現させるための目標設定、SMARTな目標設定、ウォーターフォールマネジメントとアジャイルマネジメントといった考え方やスキルは、スポーツの競技力向上に限って必要なものではなく、世間一般に必要とされる能力です。小さい頃から、しっかりした戦略に触れ、自分が責任を持って計画立案やその実践に取り組んでいくことが、スポーツに

伊藤雅充
2022年9月8日読了時間: 22分


第9回「コーチングセッションの運営〜アスリートの4C'sを導く4つのアプローチ〜」
今回(第9回)から、コーチング学授業は一つの節目を迎えます。第1回から第4回までに、コーチング哲学を中心とした、コーチとしての考え方について扱い、第5回と第6回でコーチにはどのような知識や能力が必要かということを考えました。第7回と第8回では長期計画から短期計画、そしてアウトカムが明確な一回の練習をどう組んでいくのか学び、概念的なことから徐々に具体的なコーチングに話題が展開してきました。そして第9回から数回は、コーチングを行う際に役に立つ、コミュニケーションスキルについての実践的な学びの回となります。 コーチングの目的としての4C’s(フォーシーズ) まず、コーチングにおいてコミュニケーションをとる目的を考えてみましょう。コミュニケーションを通してコーチは何をしようとしているのでしょうか。コーチングの目的は4C’sにまとめられると言われています。4C’sは4つのCという意味で、Competence(有能さ)、Confidence(自信)、Connection(関係性)、Character(人間性)です。コーチングを通してアスリートの4C’sを育

伊藤雅充
2022年9月7日読了時間: 15分
第10回「言葉の力を磨く」
第9回授業で「指示・提案・質問・委譲」アプローチについて学びました。とかく「指示」に偏りがちなコーチングに、提案や質問、委譲アプローチを加えることができれば、コーチング文脈に合わせた適切なコーチングを行うことができる確率が上がるでしょう。今回も、アスリートセンタードコーチングを実践していくのに必要な言葉について学修を進めていきましょう。 「教える」から「学ぶ」へのパラダイムシフト コーチングする内容について知らないと、「コーチングできない」「何をコーチングすればよいのか分からない」と考え、なかなかコーチングをスタートできない人もいるのではないでしょうか。確かに何をコーチングすればよいのかが分かっていないと、なかなか「教える」ことはできません。 ちょっと視点を変えてみましょう。世の中には世界最高のプレーヤーをコーチングしている人もいます。今の世界最高のプレーヤーをコーチングする人は、そのプレーヤーよりも競技者としての絶対的レベルは下である可能性が高いと思われます。コーチが現役の頃に世界最高の難易度であったプレーを今では中学生がやっているという場

伊藤雅充
2022年9月6日読了時間: 22分


第11回「聴く力と観る力を磨く」
第11回の授業を始めましょう。第9回では指示-提案-質問-委譲アプローチの使い分けについて、第10回では質問力を高めていくことについて扱ってきました。皆さんが学んでいるアスリートセンタードコーチングは、アスリートの主体的な学びを促すことによって、アスリートの学び(目標達成に向けた成長)を最適化するとともに、自己決定した取り組みを大切にすることによってより大きな幸福感を得ることを実現させようとするものです。そのためにはコーチが教えたいことをただ指示(Tell)するだけではなく、適切な質問を(Ask)することで相手から意見を聞き出したり、コーチの経験を活かした提案(Sell)をしたり、アスリートたちの主体的な取り組みを促すための委譲(Delegate)をしたりと、様々なアプローチを組み合わせ、アスリートが一人では到達できないかもしれない領域の経験をもたらすことが大切です。 頭ではアスリートの主体的な取り組みが必要だと理解していても、それを実現させるのは容易いことではありません。他者のために「教えたい」という意識の強い人ほど、なかなか質問や委譲アプロ

伊藤雅充
2022年9月5日読了時間: 21分


第12回「ユーススポーツのコーチング」
2022年度後学期コーチング学 みなさんはどちらを信じますか? 「蛙の子は蛙」 もしくは 「鳶(トビ)が鷹(タカ)を生む」 これは人間が遺伝で将来が決まっているという考えと、人間は環境によって変わるという考えとを表した表現といえます。両方のことわざがあるということは、両方ともにあり得るということでしょう。自分が親しんできたスポーツ種目について考えると、皆さんはそのスポーツパフォーマンスには遺伝(先天的要因)と環境(後天的要因)のどちらが深く関わっていると考えますか。スポーツパフォーマンスに対する遺伝と環境の影響度を比率(何対何)で表してみましょう。遺伝9対環境1でしょうか。それとも逆に遺伝が1で環境が9でしょうか。あるいは5対5、または他の比率でしょうか。 この問いに正確な答えを出すことはほぼ不可能であると思われます。実際には両方が複雑に絡み合ってスポーツパフォーマンスが発現します。たとえば、スポーツ生理学で筋線維タイプの比率は遺伝的要素が強いものであることを学んだと思いますが、生まれ持った筋線維タイプの比率のまま一生を過ごす訳ではなく、劇

伊藤雅充
2022年9月4日読了時間: 23分


第13回「コーチとしての学び」
2022年度後学期コーチング学 第13回の授業を始めましょう。コーチに必要な知識として「専門的知識」「対他者の知識」「対自己の知識」の3つがあることはすでに触れました。今日の授業のテーマは「対自己の知識」です。ICCE(国際コーチングエクセレンス評議会)が2013年に示したコーチの6つの主な機能とそれらを支える知識等についての図を思い出してください(必要に応じて第5回の図を参照 https:// www.nssu-coaching.com/2020win-coaching05)。この図の一番下に対他者の知識と対自己の知識の二つが知識の三角形を支えるように描かれていました。対他者の知識と対自己の知識、そしてそれらに挟まれる「行動を導く価値、哲学、目的」の基盤の上に専門的知識がおかれ、これらがコーチとして果たすべき機能を支えているという図でした。対自己の知識は対他者の知識と一緒に全体を支えている重要な知識となりますが、実際には全体を支えるもっとも重要な知識であると考えることもできます。 それは何故でしょうか。対自己の知識は、ざっくり言うと自らを成

伊藤雅充
2022年9月3日読了時間: 26分


第14回「ハイパフォーマンスコーチング」
2022年度後学期コーチング学 皆さんは、「ハイパフォーマンス」という言葉を知っていますか? この言葉は、主にコンピューターの性能を表したり、車の性能を表したりすることに使われていた言葉でした。しかし、近年はスポーツ界でも使用されるようになり、プロフェッショナルスポーツやオリンピックなどの高い競技力を有するスポーツ領域のことを「ハイパフォーマンススポーツ」と呼んでおり、「スポーツの卓越性を目指すスポーツ活動」(文部科学省.2018)と定義されています。「ハイパフォーマンスコーチング」とは、その領域に対する「コーチング」を指します。この領域のスポーツは、「勝負の勝ち負け」が主命となることが一般的であり、自身の所属だけではなく、国や地域の代表として競技会などに出場する機会を得ることとなります。 高度化されたパフォーマンス 近年、このハイパフォーマンス領域のパフォーマンスはどんどん高度化され、スピードやパワー、技の難易度が高まっています。このハイパフォーマンス領域で活躍するアスリート達は、日々、新たな領域へチャレンジしていることになります。この新

伊藤雅充
2022年9月2日読了時間: 20分


第15回「様々な文脈におけるコーチング」
2022年度後学期コーチング学 いよいよ、コーチング学授業の最終回です。 これまでの授業で、コーチングに絶対的な正解はないということに何度も触れてきました。どのような素晴らしい成果をあげているコーチでも、その実践したコーチングが最善であったかどうかは分かりません。もしかすると、他の方法論をとっていれば、より高い競技成績や幸福感を導くことができたかもしれないのです。逆に、成果は出なかったけれど、その方法が最善であった可能性もあります。コーチングの対象、コーチングの文脈が唯一無二のものだけに、「たられば」の話をしたとしても、何が正しいものであったのかを判定することはできません。コーチとして重要なことは、今この瞬間に最善の努力をし、自分がこれまでに学んできた全ての知識、知恵を総動員して、ベストだと思うことをやり、そこで何が起こったのかを振り返り、次の実践をよりよいものにしていくことです。 何が正しいかは分からないと言いましたが、日体大のコーチング学として皆さんに勧めていることもあります。「アスリート・センタード・コーチング」です。上述のように、何

伊藤雅充
2022年9月1日読了時間: 3分
STB第1回「導入(授業概要の解説)」
「技(ワザ)」を磨いていくためにはどのようなことを考えていけばよいのか、効率的なスキルアップの方法とはどのようなものなのかを考えていく授業、それがこのスポーツトレーニング論Bです。皆さんのほとんどはアスリートとして日々のトレーニングに励み、パフォーマンスアップに向けて心も体もワザも磨き続けていますね。この授業が皆さんの競技力向上に対する新しいアプローチ法を提供することになれば、とても嬉しく思います。また、この中には将来指導者としてのキャリアを考えている人も少なくないと思います。これから皆さんが上級生になっていき、練習をリードする立場になっていったとき、自分の競技力だけでなく、後輩達のスキルアップに対して、より良い支援ができるようになるでしょう。それがチーム全体の底上げに繋がり、自分自身の競技力向上にもポジティブな影響を与えてくれることでしょう。このような経験を通して、大学を卒業するころには、即戦力の指導者として羽ばたく準備ができていることと思います。 まず、この授業の概要、そして到達目標を確認しておきましょう。 【授業科目の概要・到達目

伊藤雅充
2021年4月15日読了時間: 7分
STB第2回「効果的なスキルトレーニングとは」
第2回の授業では、どのようなスキルトレーニングが効果的なのかを考えていきます。まず次の質問に答えてください。 【質問1】 今日の授業のテーマは「スキル」トレーニングです。このスキルという言葉は何を意味するものでしょうか。スキルに似た言葉として「テクニック」がありますが、スキルとテクニックの違いは何でしょうか。 この先を読み進む前に、質問に対する回答を書いてみてください。頭の中で考えるだけでなく、文字として書いてみることが重要です。スポーツのスキルトレーニングと同様、頭で理解した「つもり」になっているだけでは十分な理解とはいえません。書いたり話したり、アウトプットすることで自分が本当に理解しているのか、どこが自分がつまづいていることなのか、本当は適切に理解していないかもしれないということを知ることができます。うまく説明できなくても心配しなくて大丈夫です。おそらく、自信を持って適切に答えられる人は少ないと思います。ここでは、正解を言うことが重要なポイントではなく、うまくできないかもしれないことにチャレンジすること自体が重要です。...

伊藤雅充
2021年4月14日読了時間: 7分


STB第3回「運動学習理論の概要」
運動学習とは 今日、学習することは「運動学習理論」です。運動学習理論は文字通り、「運動を学習していくメカニズムの理論」です。今まさに皆さんはスマホやタブレット、あるいはPCでこのウェブテキストを見ています。スマホを使い始めた時、あるいはPCの操作を覚えるときに、どのようにそれを覚えた(学習していく)のでしょうか。今、授業ではMicrosoft Teamsを使っており、初めてTeamsに出会った人も少ないないことと思います。どのように新しいアプリケーションの使い方を学習していくのでしょうか。アプリケーションの使い方については「運動」とはなかなか言えないかもしれませんが、どう動かせばよいのかを学ぶという意味では同じだと思います。 アプリケーションの使い方が運動学習といえるかどうかを考えていたとき、ふと頭の中にe-sportsが思い浮かびました。e-sportsで画面の中でサッカー選手や格闘選手を動かすのは運動学習と言うのでしょうか。皆さんも是非悩んでください。そして、それぞれの考えを聞かせてもらえると嬉しいと思います。 動きを起こす...

伊藤雅充
2021年4月13日読了時間: 14分


STB第4回「練習の種類」
みなさん、こんにちは。スポーツトレーニング論B(技)の第4回目の授業を始めましょう。今日のテーマは「練習の種類」です。 すぐに覚えられることと、なかなか覚えられないこと 今日の話は、典型的な運動学習理論の延長線上のことです。人間がある行為を上手くなっていくにはフィードバック回路を何度もまわす、つまり繰り返し練習が必要であることは、前回の授業で扱いました。実際にやってみることで、自分が理想とした動きや結果ができたのかどうかを評価(理想と実際の状態の比較)し、その差分をフィードバックとして脳に入力し、次の行動を少しずつ変化させていっていると考えられています。 物事を覚える際に、それほど繰り返しをしなくても、すぐに覚えてしまう場合がないわけではありません。逆に繰り返せば繰り返すほど覚えるかというとそうでない場合もあります。運動ではありませんが、英単語を覚えることを想像してください。一回出てきただけで覚えてしまう単語があるかと思えば、何回出てきても辞書を引き続け、「あー、この単語、前にも調べたよ!」と思い続けるものもあるでしょう。この差はどのよう

伊藤雅充
2021年4月12日読了時間: 15分
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